「モンゴル勢や外国人力士なんて歯が立たない…」――その言葉の裏で、大島親方が唯一「別格」と認めた横綱は、意外にも貴乃花だった。23年の現役生活で8人の横綱と対戦した大島親方は、白鵬の圧倒的な記録、朝青龍の速さと多彩な攻めも知り尽くしている。だが、貴乃花との取組だけは感覚が違ったという。「何もさせてもらえなかった」。攻めようとした瞬間には、もう土俵の外へ運ばれていた。相手の力を受け止め、最後に一切の隙を残さず押し出すその相撲は、見た目以上に恐ろしい。実際、モンゴル勢で貴乃花に勝ったのは大島親方ただ一人だった。しかもその勝利は、親方からの助言を胸に刻み、変化から左上手を奪い、渡し込みでつかみ取った一番。だからこそ、大島親方は今も断言する。貴乃花は、白鵬や朝青龍とは違う「別格」の横綱だった。