ベルギー訪問中、公式晩餐会を前にした歓迎の場で、印象的な一幕がありました。ベルギー国王夫妻、そして天皇皇后両陛下が並び、出席者を一人ずつ迎えられる中、一人の男性が雅子様の前へ進み出ました。その瞬間、雅子様の表情がふっと和らぎ、穏やかな笑顔を浮かべられたのです。その男性の正体は、NATO日本政府代表部の井沢治大使でした。実は井沢大使と雅子様には、深い縁がありました。二人はともに1987年、昭和62年に外務省へ入省した同期だったのです。この年に入省した外交官たちは、後に「花の62年組」と呼ばれる特別な世代となりました。当時の外務省の仕事は、想像を超える厳しさがありました。深夜まで国会答弁の資料を作成し、海外から届く電報に対応する日々。雅子様も外務省時代、深夜2時の帰宅を「今日は早いのね」と言われたほど、多忙な生活を送られていました。そんな厳しい環境を共に乗り越えた同期たちは、単なる同僚ではありませんでした。同じ研修を受け、同じ責任を背負った仲間として、特別な絆を築いていたのです。その後、雅子様は皇室へ入り、井沢大使は外交官として別の道を歩みました。しかし39年の時を経て、再び格式ある国際舞台で再会することになります。