私は武闘派ヤクザの次期若頭として知られるが、その事実を家族には隠してきた。息子のまひろの二十歳の誕生日を祝うため、月見祭りに家族三人で出かけた。その場で息子はチンピラに絡まれ、酒をかけられるという出来事が起こった。チンピラは自らの兄貴がヤクザに恐れられる存在であると息巻いていた。私は内心で微笑みながら、その兄貴とやらを呼ぶように求めた。すると、息子は普段見せない正義感を出し、チンピラを制止。予想外の展開に、私自身がその場に割って入り、チンピラにカウンターを与えると彼は倒れた。さらに、実際に呼び出されたその「兄貴」が私だと知ったチンピラは顔色を失った。事情を知らず驚く周囲を余所に、私は息子の無事を確かめ、家族と穏やかに帰路に着いた。家に戻った後、息子は私の隣に座り込み、これまでの勇気を称え合った。家族の絆は、何よりも強いのだと感じた。