電車が急停止した。アナウンスが響く。「お客様にお知らせいたします。ただいま人身事故が発生しました。」待ち合わせに遅れる苛立ちの声がホームに溢れる。私、警察官として現場に駆けつける。これで八年目だが、事故現場はいつも慣れない。電車と人が接触した瞬間の衝撃は想像以上だ。救出作業は迅速さが求められる。負傷者、時には亡くなった方への対応もある。新人乗務員の顔色は真っ青だ。事情聴取では、非常ブレーキをどのタイミングでかけたのかを詳しく聞く。その瞬間がどれほど重要か、彼らも知っている。作業の完了後も、心労で休職する者も少なくない。そんな現場の裏側で繰り広げられる数多くの対応を、知る人は少ない。しかし次に同じことが繰り返されないことを願うばかりである。